Pediatric Dentistry

小児歯科

小児歯科とは

小児歯科とは、子どもの虫歯の予防や治療を行う診療科です。
子どもの虫歯治療を行うだけでなく、歯磨きの指導や定期検査などを継続的に行いお口の健康をトータルケアします。子どもの発育にあわせた虫歯予防や歯周病(歯ぐきの炎症)予防、虫歯の治療、そして歯並びや噛み合わせの治療を通して、美しく健康的なお口を育成していきます。

小児歯科と一般歯科の違い

成長期の子どもの顎や歯は日々成長し変化しています。その変化を踏まえた上で、将来生えてくる永久歯に悪影響が出ないように、健全な成長を支えるのが小児歯科の特徴です。
また、子どもは歯医者を怖がる傾向があるので、子どもを歯医者に慣れるために安心できる雰囲気づくりをする歯科も多いです。

何歳なら診療できる?

下の前歯が生えたら歯医者デビューの目安になります。歯が生え始めたら虫歯や歯周病のリスクが上がります。赤ちゃんの頃から口内のケアを適切に行うことが大切です。赤ちゃんの頃の口腔成長、発育は将来の歯並びに影響します。口内環境に特に問題がない場合でも、3〜4カ月から半年に1回のペースを目安に定期検診を受けましょう。
小児歯科を卒業する時期については、あごの成長が終わり、歯並びの整った永久歯列が完成したらと言われています。歯科医院によって異なりますが、一般的には12歳から18歳までを対象としています。

子どもの虫歯の原因

子どもの虫歯の原因には習慣的な要因と遺伝的な要因があります。

歯ブラシが上手く当たっていない

歯ブラシを自分で持てるようになっても、正しく歯が磨けていないと歯の汚れ(プラーク)が残ったままになり虫歯の原因となってしまいます。
プラークは意識して歯ブラシを当てないと取れない奥歯の溝、歯と歯ぐきの境目、歯と歯の間などにあります。歯の汚れをきちんと落とすには正しい歯の磨き方を覚えなければいけません。乳歯は永久歯と比べ溝が多く深いためカスが溜まりやすく、磨き残しが多くでてしまうため、虫歯菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。

甘いものをだらだら食べる

同じ糖質の量でも、一度に摂取するより「だらだら食べ」をするほうが虫歯になる確率が上がります。アメやガム、グミ、アイスキャンディなど、長い時間かけて食べるお菓子は虫歯のリスクを上げてしまいます。また、胃が小さくて1回の食事量が少ない幼児期は、食事以外の時間でおやつを食べて1日の栄養素を補う必要がありますが、おやつは毎日同じ時間に、決めた量だけ与えるようにしましょう。

乳歯のエナメル質や象牙質が薄い

乳歯は永久歯に比べエナメル質や象牙質が半分ほどの厚みしかありません。そのため、虫歯菌によって穴が空き、虫歯が進行しやすいという特徴があります。
乳歯が生え始めたら定期的な検診と、フッ素塗布などの虫歯予防に努めましょう。

親から子どもに虫歯菌が感染する

実は赤ちゃんのお口の中には虫歯菌はいません。虫歯菌の代表、ミュータンス菌は親や祖父母から感染すると言われています。
親(祖父母)のスプーンや箸で食べさせたり、過度のスキンシップ、温かい物を息をかけて冷ますことで、唾液を介して感染することが多いです。
特に奥の乳歯が生えてくる生後1年半から2年半は、食事できるものが増え、感染しやすい要注意時期と言われています。この時期に虫歯菌の感染が少なかった子は、その後も虫歯になりにくいようです。

虫歯にさせないための治療

子どもの虫歯を予防するには次のような処置があります。

虫歯に強い歯を作るフッ素

フッ素は虫歯に強い歯質をつくる性質を持っており、虫歯の予防処置に用いられています。乳歯や軟らかい生えたての歯は酸に弱いため、子どもの虫歯予防に有効な処置です。高濃度のフッ素を直接歯に塗るフッ素塗布をおこなうことで、成人の歯と同程度に強化することが可能です。定期検診の際にフッ素塗布をおこなって段階的に虫歯の予防効果を高めます。

歯を削ることなく予防できる シーラント

子どもの生え替わったばかりの奥歯の永久歯は大人の奥歯に比べ、溝が細かく複雑です。歯ブラシも届きにくく虫歯になりやすいです。
シーラントは虫歯が出来やすい奥歯の溝を白いプラスチック素材で埋めて虫歯を予防する処置です。素材は虫歯治療に詰め物として使う「レジン」と同じで、フッ素成分が含まれています。
シーラントは歯を削ることがないので痛みはありませんが、生活していく中で剥がれ落ちることもあるので、定期的に検診をしてメンテナンスをする必要があります。

子どもの矯正歯科

矯正治療の開始時期は永久歯の前歯や臼歯が生えてからが目安で、早い子では6歳半からマウスピース矯正が可能です。

子どもの内に矯正をするメリット

  • 虫歯や歯周病になるリスクを低減できる
  • 歯並びや噛み合わせの悪化の予防ができる
  • 鼻呼吸、発音がしやすくなる
  • コンプレックスが解消される
  • 成長を利用してあごのずれを修正できる
  • 痛みが成人に比較して少ない
  • 歯の移動が速く治療期間が短い傾向にある
  • 後戻りが少ない
  • お口の中に対する意識の向上
  • 口元をすっきりさせられる可能性が上がる

子どもの内に矯正をするデメリット

  • 歯磨きがしにくくなり虫歯になりやすくなる
  • 装置の着用中、食事の際にうまく噛めない、発音が少し悪くなるなど日常生活への影響
  • 難しいケースでは大人になっても再度矯正が必要になることがある
  • 子供が治療に協力的でない場合は良い結果が出にくくなってしまう場合がある
  • 一時的に歯並びが悪く見えることがある

矯正治療によってどこが治り、どこが改善されないかを治療開始前にご理解頂くことが大切です。状態によっては、小児期の矯正治療を進めずに、永久歯が生え変わるまでお待ち頂き、永久歯の矯正治療から始めることもあります。治療時期を早めても、治療が早く終わるわけではありません。治療が長引くと子どもにとっても経済的にも大きな負担になります。治療を始めるタイミングの判断は、症状によって異なるので矯正治療の専門的な知識と経験が必要です。
多くの選択肢の中からお子様ひとりひとりに合った治療を提案しております。また場合によってはお子様の性格なども考慮しながら装置を変更できる場合もございますので、一度相談にいらしてみてください。