虫歯治療について
虫歯ってなに?
虫歯とはお口の中のさまざまな細菌と環境の変化によって歯のカルシウムやリン酸などのミネラルが溶け出して歯が溶けて穴が空いてしまう病気です。
歯がしみたり痛みが出る病気の代表として一般的にもよく知られています。
虫歯はどうしてできるの?
虫歯の原因は、歯の表面に付着した歯垢と呼ばれる汚れに潜むさまざまな細菌が関わり合いながら環境の変化によって引き起こされます。そのさまざまな細菌が糖を代謝して酸を生成することにより、歯質を溶かして虫歯になってしまいます。
また、虫歯の原因となる生活習慣としては、歯を磨かない、甘い飲み物や食べ物の過剰摂取、十分な水分を摂らないこと、タバコの喫煙などが挙げられます。虫歯を予防するためには、適切な歯磨きを行うこと、糖分を摂取する場合は注意すること、口内の清潔を保つことが重要です。
歯と歯の間に虫歯ができている可能性があり、レントゲンの検査などを追加で行い、虫歯かどうか診断していきます。
虫歯を染め出した状態(赤色の染色部分)
虫歯の原因と虫歯ができる流れ
Step1:環境の変化
口の中にはたくさんの細菌が住んでいます。そのたくさんの細菌が作用して虫歯になります。しかし細菌の多くは常在菌と呼ばれる普段からお口の中にいるもので、歯を磨かない、甘いものを常に摂取しているなどの環境の変化により虫歯が引き起こされるとされています。
Step2:バイオフィルムの形成
歯磨きを怠ったり、うまくできていないと歯の表面にネバネバした物質が蓄積します。(一般的には歯垢、専門用語でバイオフィルムと言われています)
Step3:虫歯の完成
バイオフィルムの中の細菌は食べ物の中の糖を代謝して酸を作り、次第に歯を溶かし始めます。これがむし歯です。
当院の虫歯治療の特徴
虫歯の治療で大事なのは適切な診査と診断になります。
虫歯を見逃さない、またその虫歯が本当に削る必要のあるものかどうかを見極める必要がありますのでまずは適切な診査・診断を行なっていきます。
その上で大切なのはしっかりと「見えているかどうか」が大事になります。当院ではほとんどの治療を拡大視野下(マイクロスコープや拡大鏡)で行います。どんな小さな虫歯も見逃さず適切な治療を行なっていくことができます。
逆を言えば裸眼で行う治療は多くの虫歯の取り残しをしている可能性があると言えます。また虫歯で溶けてしまった部分をきれいに除去した後にそこを修復していくのですが、そこがしっかりと処理し修復されていなければ途端に虫歯の再発をおこしてしまいます。この修復してく段階においても拡大視野下で行うことでクオリティーの高い修復治療を行うことが可能となります。
虫歯の治療方法
悪い原因を除去する治療
虫歯をとる治療
虫歯に感染した歯を削って除去します。当たり前のことですが、削った歯は元に戻りません。
そして、虫歯を治したとしても、完全に治ったわけではなく、修理しただけなのです。虫歯をとって、欠けた歯を修理して元の歯の形に戻して使えるようにしているだけなので、虫歯になったことのない歯と比べてとても脆くなります。脆くなった歯は虫歯になりやすく、薄くなった歯は割れるリスクがあります。
ですから、虫歯をとること以上に、今後虫歯にならないようにする対策をしっかりととることが一番大切なのです。
では、具体的な虫歯をとる治療についてご説明します。虫歯を発見するため、目で確認(色、穴など)、レントゲンで確認、虫歯検知液を使用してチェック、歯の硬さの確認を行います。
虫歯を発見できたら、虫歯菌に感染した歯を削っていきます。どこまで感染しているかを検査するのが虫歯検知液です。この検知液は、感染しているところのみが染まるようにできています。
この検知液を使いながら、また虫歯で脆くなっている部分はやわらかくなっているため硬さの確認も行い感染しているところのみをしっかりと除去しきることが大切です。これには、結構な時間がかかります。しかし、丁寧にこの治療をすることが歯の寿命を伸ばすことにつながります。
手前の歯(画像右手の歯)を治療中に、後方の歯にも虫歯を発見しました。
虫歯を表面除去したところ、深部まで進行していることを確認できました。
虫歯除去後
歯の神経の治療(歯内治療)
虫歯の進行が深いところまですすむと、虫歯菌が歯の神経の中に侵入し、一気に病状が悪化します。歯の神経は、歯の表面と違いとても軟かく、虫歯菌にとっての餌が山ほどある組織です。また、歯の神経は菌の侵入を冷たいものや暖かいものがしみる、何もしなくてもズキズキ痛む、といったように、「痛み」という警報装置によって知らせてくれます。
具体的な歯の神経の治療(歯内治療)としては、まず虫歯をしっかりと除去した後、歯の神経およびそこに入り込んだ菌を除去し、消毒します。次に歯の根の神経およびそこに入り込んだ菌を除去し、消毒します。最後に神経のあった部分に、最終的な薬をいれます。
神経を除去する治療(抜髄)で2回以上、菌が神経の中に感染した場合の治療(感染根管治療)で3回以上はかかると言ってよいでしょう。
ちなみに、歯の神経がなくなるということには以下の問題点があります。
- 菌の侵入を知らせてくれる警報装置を失うこと
- 歯が折れやすくなる(神経の治療をした歯は大きく削られていることが多いため歯が薄くなっており折れやすい)
- 歯が変色する
神経をとった後に歯を治す際、そして治した後は、上記の問題点を少しでも補うような治療をすることが大切です。
歯を抜く治療(抜歯)
虫歯の進行が重度な場合は、歯を抜かなければならないことがあります。この場合、かぶせや土台を支える歯がなくなってしまいますので、抜けたところを人工の歯で補う必要があります。また、歯が抜けたまま放っておくと、周りの歯が移動してしまいます。
もし抜かずに無理やり残すと、周りの歯がダメになったり、満足に噛めなくなったり、といった問題が起こります。
失ってしまった歯を修理して噛めるようにする治療
虫歯になった場合、虫歯菌に感染した歯を削って感染を取り除きますが、そうすると歯は薄くなります。そのままだと見た目も悪く、噛みにくいので、元の形のように戻すことが勧められます。元の形に戻すため、代わりの人工物で補う治療を行いますが、この補う人工物のことを「補綴物」と言います。種類も様々あり、保険適用のものもありますが、自由診療によって選択肢も広がります。長持ちすることや再治療を少なくするためにも、歯の状態に適した治療を行うことが大切です。
虫歯の進行段階と治療の流れ
C1段階 − 小さく削って詰める
治療は1〜2回で終わることが多く、治療は必要に応じて型取り、虫歯の除去、詰め物を充填、研磨の手順で行います。
C2段階 − 削って詰める
むし歯が大きい場合は銀歯(保険)、金歯、セラミックといった詰め物
を歯の一部に入れることになります。
C3段階 − 神経をとって被せる
むし歯が神経にまで達している場合は、神経をとって、根の治療をした上で歯に土台を立て、その上から歯を模した被せもの(こちらも銀歯(保険)、金歯、セラミックなどがあります)を入れることになります。
C4段階 − 抜歯
この状態になると、歯を抜かないといけなくなることが多いです。歯の詰め物や被せ物には先ほど述べたような種類があり、ご自身がどのようなお口でいたいか、どのように治療したいかによって選択することができます。(これ以上むし歯ができて欲しくない、自分の元の歯のように綺麗にしたい、費用を抑えたい、などです)
虫歯を放置すると起こるリスク
虫歯を放置して、進行すればするほど耐えられない痛みを経験する、治療期間が長くなる、余計な治療費用が発生してしまうという複数のリスクがあります。
- 食欲不振
- 絶え間ない痛み
- 口臭がひどくなる
- 顎が変形してしまう
- 歯を失う
- 心臓病などの他疾病を引き起こす
たかが虫歯と侮るなかれ、虫歯を放置すると命にかかわる大事になってしまうこともあります。できるだけ早い段階での虫歯治療をおすすめいたします。
虫歯にならないための予防歯科
当院では、予防歯科として定期的な口腔内環境のチェックを治療後の患者様にご案内しております。
当院の予防歯科については、予防歯科ページをご覧ください。